“シュークルート・クラブ”と“ザワークラフト・クラブ”

“シュークルート”はフランス語で、

“ザワークラフト”はドイツ語だそうです。

西川 恵 著『ワインと外交』という本の中に出てくる、

塩漬け発酵させたキャベツに、ソーセージやジャガイモ、豚肉などを付け合せた、

フランスアルザス地方、そして、ドイツ双方にゆかりのある名物料理だそうです。

美味しそう!!

同書の中で、「仏独関係を立て直したアルザスのレストラン」と題して、

2001年1月31日、フランスアルザス地方、ブレシュハイム村にある

“シェ・フィリップ”というレストランで開かれた、

フランス・シラク大統領と、ドイツ・シュレーダー首相の夕食会のエピソードが描かれています。

ちょっと気まずい両国関係を修復すべく開かれた会談・夕食会が上首尾に終わり、

その際、シラク大統領が、自ら提案した、両国首脳による「6~8週間ごとの非公式の首脳会談」のことを、

オーナシェフ、フィリップ・シャット氏が父親から受け継いだ自慢料理であり、「両国文化の融合です」と披露した

“シュークルート”にちなんで、

「“シュークルート・クラブ”と名付けませんか」と持ちかけ、シュレーダー首相が「大いに結構、われわれは“ザワークラフト・クラブ”と呼ばせてもらいますが」と応じ、

以降、仏独関係は再び推進力を得ることになったと書かれています。

この本の中では、“饗宴外交”というテーマから、

さまざまな国と国との外交関係について、

晩餐会や食事会でもてなされた料理のメニューやワインリストを挙げながら、

そのエピソードを紹介していますが、

一冊を通して、個人的に非常に興味深い内容であった中でも、

特に、このエピソードが印象に残りました。

もちろん、“シェ・フィリップ”と、フィリップ・シャット氏の料理だけのおかげで、

両国関係がいい方向に向かったというわけではないでしょうが、

少なくとも、その『縁を結ぶ』一役を担っているはずで、

それは、料理店やレストランの、

『理想のかたち』のひとつではないかと思ったりしています。

言之易而行之難・・・言うは易く、行うは難し・・・

でも、目標の一つでもあります。

ワインと外交 (新潮新書 204)/西川 恵

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